iDempiere

180px-IDempiereBlueiDempiereは、ADempiereから分岐してできた、オープンソースERPプロジェクトです。
iDempiereの”i”は、OSGiというプラグインの仕組みに由来しています。

iDempiereはAdempiere 3.6.1をベースにして開発されました。
Adempiere 3.6.1は、プロジェクトの中で最もソフトウェアの安定性を重視していた、コロンビアのCarlos Ruizさんが主にメンテナンスしていたバージョンです。
プロジェクト名がiDempiereになり、バージョン番号は変わりましたが、
Adempiereの機能等を引き継いで開発されています。

一方、sourceforge.netの本家Adempiereプロジェクトは、
開発メンバー間の方針の違いによる対立などがあり、
フォーラムやソースコードリポジトリの活発度を見てもコミュニティの活動が停滞しています。
ADempiereプロジェクト創始者のRed1さん、WebUIを実装したHengSinさんもiDempiereに移り、
主要な開発者はiDempiereプロジェクトで開発を続けています。

iDempiereはAdempiereの機能に加えて以下のような特徴があります。
・OSGiを実装
・ZKウェブUIのバージョン6.0を利用
・JasperReportsのバージョン4.6.0を利用
・Java7対応
・サーバーの起動の高速化
・Manufacturing Liteを採用
・SOAP Webサービス
・BitBucketを利用したソースコードの管理とパッチの受付
・BugFix

・OSGi
OSGiは、IDE(ソフトウェア開発ツール)として有名なEclipseでも採用されているプラグイン構造を実現するための仕様です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/OSGi
iDempiereはEquinoxというOSGi実装を使ってプラグイン構造を実現しています。

・ZKウェブUI、JasperReportsのバージョン
iDempiereプロジェクトでは、AdempiereにZKウェブUIを実装した、
マレーシア人のHengSinさんが参加しているため、
ZKウェブUIのバージョンアップにあわせて利用するZKのバージョンを上げています。
現在は、バージョン6.0を利用しています。
また、JasperReportsについても4.6.0を利用しています。

・Java7対応
Adempiereの3.6.0、3.7.0ではJava7での動作はできませんでしたが、
iDempiereではJava7に対応しました。

・サーバーの起動の高速化
iDempiereではOSGiの実装に伴い、JBossという重量級のソフトウェア(アプリケーションサーバー)の使用を止め、
比較的、小型・軽量なTomcatを使用するようになりました。
これによりサーバーの起動時間が約1/6に、メモリの使用量も1/2~1/3になっています。

※実際には、Eclipseのサブプロジェクトで開発が行われている、
TomcatベースのGemini Webというサーブレットコンテナが使われています。
http://www.eclipse.org/projects/project.php?id=rt.gemini.web

・Manufacturing Liteを採用
e-Evolution(Victorさん)が作成したMRP(Libero Manufacturing)に代わって、
オーストラリアに本社があるAdaxa社製のMRP(Manufacturing Lite)を採用しています。

Libero Manufacturingはバグが多く安定していないという意見が多いMRPで、
機能が実装されていない箇所があるなど、他の安定した機能に影響を与えることもありました。
Carlos Ruizさんは、e-EvolutionのVictorさんと意見が対立していたこともあり、
“Liberoをソースコードのtrunkに入れたせいでAdempiereプロジェクトが3年間停滞した”
という発言をしています。

・SOAP Webサービス
iDempiereには、3e servicesというSOAP Web Serviceの機能が組み込まれました。
SOAPはXMLを使ってデータをやり取りするための通信規約です。
この機能によって、iDempiereを導入しようとしている企業で既に動いている業務システムや
取引先の業務システムなど、他システムとのデータのやり取りが可能になります。

・BitBucketを利用したソースコードの管理とパッチの受付
iDempiereではBitBucketというサイトでソースコードを管理しています。
https://bitbucket.org/idempiere
BitBucketは、Mercurialという分散型バージョン管理システムを利用した、
ソースコードを共有して共同開発する仕組みを提供するウェブサービスです。
(同様のサイトにGitHubがあります)
BitBucketを使うことにより、開発に参加したい人は簡単にiDempiereのソースコードを
forkさせてBitBucketでソースを管理することができます。
改善したソースはPullRequestという仕組みでマスターのリポジトリに
マージのリクエストをすることができます。
BitBucketのiDempiereリポジトリは主にCarlos Ruizさんによって管理されています。

・Bug修正、機能追加
iDempiereは、Jiraというチケット管理システムで管理されていて、
2013年5月時点で、670個以上のチケットが解決されました。
iDempiereのJiraのサイトは以下です。
http://jira.idempiere.com/

Adempiereプロジェクトとの比較では、iDempiereの方が圧倒的に活発になっています。
2012年9月頃のCarlosRuizさんによる情報では、

adempiereチケット管理サイト -> 30日間で、 2件イシューが作成されて、0件解決
idempiereチケット管理サイト -> 30日間で、47件イシューが作成されて、69件解決

adempiereのソースコードリポジトリ -> 30日間で、 14件のコミット、3人の貢献者
idempiereのソースコードリポジトリ -> 30日間で、142件のコミット、11人の貢献者(そのうち4人は新規)

となっています。

2013年5月18日時点の情報でも、
adempiereチケット管理サイト -> 30日間で、 2件イシューが作成されて、0件解決
idempiereチケット管理サイト -> 30日間で、70件イシューが作成されて、93件解決
です。

また、iDempiereプロジェクトは、セキュリティホールの対応も迅速に行っています。
2013年5月9日にドイツで行われたiDempiereカンファレンスで、
Adempiereにユーザー権限に関するセキュリティ上の問題が見つかりました。
iDempiereは即日修正されましたが、Adempiereのsourceforge.netのリポジトリではまだ修正されていません。(2013年5月18日現在)